ハムレット

ハムレットシェイクスピア
原題
Hamlet
発表
1601年頃(執筆・初演は1599年〜1601年頃と推定)
初出
1603年に第1四折版、1604〜1605年に第2四折版が刊行
形式・長さ
戯曲・中編
手ごわさ
ふつう

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ひとことで言うと

父を亡くしたデンマークの王子ハムレットの前に、父の亡霊が現れ、叔父に毒殺されたと告げます。復讐を誓ったハムレットは狂気を装いますが、迷い、考え込み、なかなか行動に移せません。シェイクスピアの戯曲で最も長い、悩める王子の復讐劇です。

こんな人に

  • やるべきことがわかっていても踏み出せずにいる人に
  • 言葉の裏に本心を隠す、駆け引きの多い会話が好きな人に
  • 家族や友人を誰まで信じてよいのか迷ったことがある人に

あらすじ(ネタバレなし)

デンマークの王が急死し、王の弟クローディアスが王妃ガートルードと結婚して王位に就きます。王子ハムレットは、父の死と母の早すぎる再婚に深く沈み込んでいます。

ある夜、ハムレットは親友ホレイショーから、亡き王の亡霊がエルシノア城の城壁に現れると聞き、自分の目で確かめに行きます。現れた父の亡霊は、自分は弟クローディアスに毒殺されたのだと明かし、復讐を求めます。

復讐を誓ったハムレットは、わざと狂ったふりをすることにします。けれども、亡霊の言葉が本当なのかどうか、彼自身も確信を持てずにいます。王と王妃は息子の変わりように心を痛め、侍従長ポローニアスは、その原因を娘オフィーリアへの恋の悩みだと考えます。宮廷の人々は、それぞれの思惑からハムレットの本心を探り始めます。

主な登場人物

ハムレット
デンマークの王子で、王位の後継者。父の死の真相を知り、復讐を誓う。
クローディアス
ハムレットの叔父。兄である先王の急死後に王位に就き、王妃と結婚した。
ガートルード
ハムレットの母。夫の死後まもなく、その弟クローディアスと再婚している。
先王の亡霊
ハムレットの父で、先代の王。名前は息子と同じハムレット。
ポローニアス
王の右腕である侍従長。オフィーリアとレアティーズの父で、宰相とも訳される。
オフィーリア
ポローニアスの娘で、ハムレットが想いを寄せる女性。
ホレイショー
ハムレットの親友。亡霊のことを最初に知らせ、王子の打ち明け話を聞く。

見どころ・おもしろいところ

  1. 芝居で王の心を試す

    亡霊の話を確かめるため、ハムレットは城に来た旅役者たちに、父の殺され方によく似た場面のある芝居を演じさせます。観劇する叔父の反応から真相を見極めようという計画です。劇の中で劇が演じられるこの場面は、物語の大きな転回点になります。

  2. 立ち止まって語る独白

    ハムレットはたびたび一人になり、自分の考えを長々と語ります。会話で筋が進む一方、独白の間は時間と行動が止まり、彼の迷いがそのまま観客に向けて語られます。

  3. 見張り合う宮廷の人々

    王はハムレットの学友を呼び寄せて様子を探らせ、ポローニアスは物陰から会話を盗み聞きします。誰もが誰かを見張っている宮廷で、狂気を装う王子と周囲との腹の探り合いが続きます。見えている姿と本当の姿の違いが、作品全体を貫いています。

つまずきやすい所と、読み通すコツ

人物表を手元に置く

戯曲はせりふだけで進み、地の文で人物を説明してくれません。王・王妃・侍従長の一家・王子の友人の四つのまとまりで登場人物表を見ておくと、誰が誰の側にいるのかが追いやすくなります。

五幕の流れを先に知る

全体は五幕で、第一幕で亡霊が真相を告げ、第二幕以降でハムレットが確証を求めて動きます。いまの版の幕と場の区切りは、のちの編集者が整えたものです。いまどの幕にいるのかを確かめながら読むと、長さに迷いません。

言葉遊びは注で確かめる

ハムレットは本心を隠すために、しゃれや二重の意味を持つ言葉を多用します。せりふが噛み合っていないと感じたら、言葉遊びが隠れていることが多いので、注や解説を確かめてみてください。

伝説から生まれた悲劇

『ハムレット』は1599年から1601年ごろに書かれ、宮内大臣一座によって初演されたと考えられています。初演の劇場はグローブ座とする説があり、主役は当時の名優リチャード・バーベッジが演じたとされています。

物語の大元は北欧のハムレット伝説で、直接の手本になったのは作者不明の「原ハムレット」という戯曲だったとされています。トマス・キッドの『スペインの悲劇』の影響も指摘されています。

四百年演じ続けられた王子

『オセロ』『マクベス』『リア王』とともにシェイクスピアの四大悲劇の一つとされ、一人の知識人の精神の歩みを描いた作品として演劇史に名を残しています。初演の直後から上演が重ねられ、1626年にはドイツのドレスデンでも演じられました。

主人公の読み方も時代によって変わってきました。詩人コールリッジによる「悩める知識人」という像が長く主流でしたが、迷いを乗り越えて行動する人物として読む解釈もあります。有名な台詞はさまざまに訳され、一つの文に40以上の訳が生まれています。

結末まで知りたい人へ

ネタバレを含むあらすじを開く

芝居の途中で王が席を立って逃げ出したことで、ハムレットは叔父の罪を確信します。ところが母と言い争っている最中、物陰で盗み聞きしていたポローニアスを王と取り違えて刺し殺してしまいます。王はハムレットをイングランドへ送り、処刑させようとたくらみますが、ハムレットは国へ戻ってきます。父を失ったオフィーリアは正気を失い、やがて溺死します。

父と妹の仇を討とうとするレアティーズと王は手を組み、毒を塗った剣と毒入りの酒でハムレットを剣術試合の場で殺そうとします。試合の最中、王妃は毒の酒と知らずに飲んで倒れ、ハムレットとレアティーズはともに毒の剣で傷つきます。死にゆくレアティーズから真相を聞いたハムレットは王を殺して復讐を果たし、事の次第を語り伝えてほしいとホレイショーに言い残して息を引き取ります。

よくある疑問

『ハムレット』はどんな話?

デンマークの王子ハムレットが、父を毒殺して王位と母を手に入れた叔父に復讐しようとする話です。四大悲劇の一つに数えられています。

どのくらいの長さ?

全5幕の戯曲で、およそ4000行あり、シェイクスピアの戯曲の中で最も長い作品です。そのまま上演すると4時間以上かかることもあるとされています。

元になった話はある?

12世紀にサクソ・グラマティクスが書いた『デンマーク人の事績』に、王子アムレートの伝説が記されています。シェイクスピアが直接下敷きにしたのは、いまは残っていない「原ハムレット」と呼ばれる戯曲だったと考えられています。

本によって中身が違うのはなぜ?

『ハムレット』には、1603年の第1四折版、1604〜1605年の第2四折版、1623年の第1二折版という三つの原本があり、長さや文章が少しずつ異なります。いま読まれている版の多くは、これらを照らし合わせて作られています。

出典

あらすじと解説は、上の資料と作品の本文をもとに編集部が書いています。表紙の絵はこのサイトで作った装丁で、実際の本の表紙ではありません。

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