三銃士

三銃士デュマ
原題
Les Trois Mousquetaires
発表
1844年
初出
日刊紙『シエークル』に連載(1844年3月〜7月)、同年に単行本が刊行
形式・長さ
小説・大長編
手ごわさ
すぐ読める

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ひとことで言うと

銃士に憧れて田舎からパリへ出てきた若者ダルタニャンが、腕利きの三人の銃士と出会い、王妃を陥れようとする宰相リシュリューの陰謀に立ち向かいます。決闘と陰謀と早馬の旅が続く冒険活劇で、実在の人物や史実が数多く織り込まれています。

こんな人に

  • 剣と友情と冒険がそろった、勢いのある物語が読みたい人に
  • 史実と作り話が入り混じる歴史小説が好きな人に
  • 向こう見ずな若者が仲間に揉まれて成長していく話が好きな人に

あらすじ(ネタバレなし)

物語は1625年4月に始まります。当時のフランスには、国王ルイ13世と宰相リシュリュー枢機卿という二人の支配者がいました。南フランスのガスコーニュに生まれた若者ダルタニャンは、国王の銃士になることを夢見てパリへ向かいます。

ところが道中の町で、愛馬を笑われてかっとなり、謎の騎士に決闘を挑んで打ち倒され、銃士隊長トレヴィルへの紹介状を盗まれてしまいます。パリで隊長に会ったものの、窓の外にその騎士を見つけて飛び出したダルタニャンは、勢い余って三人の名高い銃士アトス、ポルトス、アラミスと次々にもめ事を起こし、三人と決闘する羽目になります。

約束の場所で決闘が始まったそのとき、枢機卿の護衛隊が現れ、決闘禁止令を盾に銃士たちを捕らえようとします。ダルタニャンは迷わず銃士の側について戦い、これをきっかけに四人の友情が始まります。やがてダルタニャンは、下宿の家主の妻コンスタンスを通じて、王妃アンヌを狙う陰謀に巻き込まれていきます。

主な登場人物

ダルタニャン
ガスコーニュ出身の小貴族の青年。剣の腕と機転に優れるが、向こう見ずで喧嘩っ早い。
アトス
三銃士の最年長でリーダー格。高潔で剣の腕は一流だが、酒に溺れることもあり、過去を語らない。
ポルトス
三銃士の一人。大柄で陽気なおしゃべり。見栄っ張りで、派手な衣装を好む。
アラミス
三銃士の一人。もと神学生で物腰が柔らかく、いつか聖職に戻りたいと口にしている。
リシュリュー枢機卿
フランスの宰相。国王と並ぶ実力者で、王妃と対立している。実在の人物。
コンスタンス・ボナシュー
ダルタニャンの家主の妻で、王妃に忠実に仕える下着係。ダルタニャンが恋をする。
ミレディー
ダルタニャンが道中の町で見かけた、謎めいた絶世の美女。イギリス貴族の義妹。

見どころ・おもしろいところ

  1. 三つの決闘が友情に変わる

    パリに着いた初日、ダルタニャンは三人の銃士と立て続けに決闘の約束をしてしまいます。その場に枢機卿の護衛隊が現れ、敵だったはずの四人が肩を並べて戦うことになります。冒頭のこの痛快な流れで、四人それぞれの性格が一気に見えてきます。

  2. ロンドンへの早馬の旅

    王妃を救うため、ダルタニャンと三銃士はイギリスへ急ぎます。道中には枢機卿の罠が待ち受け、仲間が一人、また一人と身を挺してダルタニャンを先へ行かせます。シャンティイ、アミアン、カレーと町の名を追いながら読むと、旅の緊張がよく伝わります。

  3. 史実の中を動く架空の若者

    国王ルイ13世、王妃アンヌ、リシュリュー、イギリスのバッキンガム公は、いずれも実在の人物です。新教徒の都市ラ・ロシェルの包囲戦といった実際の出来事の合間を、ダルタニャンたちが駆け抜けます。どこまでが史実かを調べながら読む楽しみもあります。

つまずきやすい所と、読み通すコツ

「三銃士」に主人公は入らない

題名の三銃士はアトス、ポルトス、アラミスの三人で、主人公のダルタニャンは物語の始まりではまだ銃士ではありません。四人目の仲間として彼がどう認められていくかを追うと、筋がつかみやすくなります。

前半と後半で事件が変わる

前半は、王妃がイギリスの宰相に渡したダイヤの飾り紐をめぐる事件が中心です。後半はラ・ロシェル包囲戦の時期に移り、謎の美女ミレディーが物語の前面に出てきます。長い作品ですが、二つの大きな事件に分けて考えると見通しがよくなります。

枢機卿派と王妃派で整理する

登場人物が多く、従者まで名前で呼ばれます。王妃の側か枢機卿の側かで人物を二つに分けて覚えておくと、誰が味方で誰が敵なのかを見失いません。

古い回想録から生まれた物語

デュマは序文で、ルイ14世の歴史を調べていたときに見つけた『ダルタニャン氏の回想録』から着想を得たと書いています。1700年に出たこの本には、若いダルタニャンが銃士隊長を訪ね、控えの間でアトス、ポルトス、アラミスという名の若者に出会う場面がありました。ダルタニャン自身にも、実在した同名の軍人というモデルがいます。

執筆には、のちに『モンテ・クリスト伯』でも組むオーギュスト・マケが協力しました。マケが歴史を調べて筋の案を出し、デュマが人物を足したり削ったりして、自分の文体で物語をふくらませるという分担だったとされています。連載は七月王政の時代で、旧体制の不正や理不尽を描いた点が、当時は政治的な意味も帯びていました。

何度も映像化された冒険活劇

『三銃士』は、正義のために戦う剣士たちの冒険を描く剣劇もののジャンルを代表する作品です。1894年版には、画家モーリス・ルロワールによる挿絵が数多く添えられました。

映画化も数多く、1921年にはダグラス・フェアバンクス主演の無声映画が作られました。1970年代にはリチャード・レスター監督が二部作として映画化しています。日本でも1980年に、宝塚歌劇団の出演によるテレビ番組として半年間放送されました。

結末まで知りたい人へ

ネタバレを含むあらすじを開く

ダルタニャンはロンドンのバッキンガム公から飾り紐を取り戻し、王妃の危機を救います。しかしコンスタンスはさらわれ、行方がわからなくなります。ラ・ロシェル包囲戦の陰で、枢機卿の腹心として暗躍するスパイだったミレディーは、バッキンガム公の暗殺を成し遂げます。ダルタニャンは手柄を立てて念願の銃士になりますが、修道院にかくまわれていたコンスタンスは、ミレディーに毒を盛られ、再会したダルタニャンの腕の中で息を引き取ります。

四人は逃げたミレディーを捕らえ、彼女の数々の罪を裁いて処刑します。ミレディーはかつてアトスの妻だった女でした。リシュリューのもとへ連行されたダルタニャンは死罪を覚悟しますが、枢機卿はその才を認め、銃士隊副隊長の辞令を渡します。三銃士はそれぞれ結婚、修道院入り、領地の相続によって銃士隊を去っていきます。

よくある疑問

『三銃士』はどんな話?

銃士を夢見てパリに出た若者ダルタニャンが、三人の銃士と友情を結び、宰相リシュリューの陰謀に立ち向かいながら、やがて自らも銃士になる冒険小説です。

ダルタニャンは三銃士の一人?

違います。三銃士はアトス、ポルトス、アラミスの三人で、ダルタニャンは彼らの仲間になる四人目の若者です。

「皆はひとりのために、ひとりは皆のために」は『三銃士』が出典?

作中に出てくる言葉ですが、『三銃士』が最初ではありません。シェイクスピアの詩や、1618年のプラハでの事件の際のラテン語の成句など、もっと前に似た言い回しが見られます。

続編はある?

あります。『三銃士』は『二十年後』『ブラジュロンヌ子爵』と合わせた三部作『ダルタニャン物語』の第一部で、分量は全体の5分の1ほどです。

出典

あらすじと解説は、上の資料と作品の本文をもとに編集部が書いています。表紙の絵はこのサイトで作った装丁で、実際の本の表紙ではありません。

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