- 原題
- Treasure Island
- 発表
- 1883年
- 初出
- 1881年から1882年まで子ども向け雑誌『Young Folks』に連載。1883年にカッセル社から単行本として刊行
- 形式・長さ
- 小説・長編
- 手ごわさ
- すぐ読める
- 書棚
- ヨーロッパの文学
海辺の宿屋の少年ジムが、亡くなった老水夫の荷物から海賊フリント船長の宝の地図を見つけ、大人たちと宝探しの船旅に出る話です。船に乗り込んだ片足のコック、ジョン・シルバーの存在が、この冒険をただの宝探しでは終わらせません。物語は、大人になったジムが少年時代を振り返って書いた回想として語られます。
こんな人に
- 地図を手に知らない土地へ出ていく話が好きな人に
- 善人か悪人か決めきれない人物に惹かれる人に
- 子どものころ映画やアニメで見た話を原作で確かめたい人に
あらすじ(ネタバレなし)
18世紀の半ば、イングランドの海辺にある宿屋「ベンボー提督」亭に、顔に刀傷のある老水夫がやって来ます。ビリー・ボーンズというその男は大きな箱を抱えて宿に居つき、宿の息子ジム・ホーキンズに、片足の船乗りが現れたら知らせろと言いつけます。
やがて宿のまわりに、ボーンズを追ってきたらしい怪しい男たちが現れはじめます。かつての仲間ブラック・ドッグ、盲目の物乞いピューと続き、ボーンズは酒に溺れていきます。ボーンズが倒れたあと、ジムは母と一緒に彼の箱から包みを持ち出します。中にあったのは、フリント船長が財宝を隠した島の地図でした。
地図を見た医師のリブシーと郷士のトレローニは、島へ宝を探しに行くことを決めます。トレローニはブリストルで船を用意し、波止場で居酒屋を営む片足の男ジョン・シルバーの手を借りて乗組員を集めます。シルバーもコックとして乗り込み、ジムは船室係として、スモレット船長の率いるヒスパニオーラ号で海へ出ます。
主な登場人物
- ジム・ホーキンズ
- 語り手。宿屋の息子で十代半ばほど。勇敢だが、ときに無鉄砲に一人で動く。
- ジョン・シルバー
- 片足の船のコック。人当たりがよくジムをかわいがる。原文では「ロング・ジョン」と呼ばれる。
- リブシー医師
- 医師で治安判事も務める。冷静で公平な人物。いくつかの章では彼が語り手になる。
- トレローニ
- 航海を企てる裕福な郷士。人を信じやすく、口が軽いのが難点。
- スモレット船長
- ヒスパニオーラ号の船長。規律に厳しく、雇われた船員たちを初めから疑っている。
- ビリー・ボーンズ
- 宿屋に住みついた老水夫。片足の男を恐れている。宝の地図を持っていた人物。
- ベン・ガン
- 島でジムが出会う元海賊。島に置き去りにされ、長いあいだ一人で暮らしてきた。
見どころ・おもしろいところ
善とも悪とも割り切れない男
シルバーは欲が深く抜け目のない男ですが、人を惹きつける力と頭の回転の速さを持ち、ジムには本気で好意を見せます。その言動は子ども向けの物語の登場人物としては珍しいものとされています。この男をどこまで信じてよいのか、ジムと一緒に迷いながら読めます。
おなじみの海賊像はここから
南の島、×印のついた宝の地図、肩にオウムを乗せた片足の船乗り。海賊と聞いて思い浮かぶこうした姿は、この作品が広めたものとされています。読みながら、見覚えのある場面の元をたどる楽しみがあります。
少年の単独行動が話を動かす
ジムは勇敢ですが、ときに衝動的で、大人たちに断らず一人で動き出します。その思いがけない行動が何度も局面を変えていきます。旅が進むにつれ、ジムが少しずつ思慮深くなっていくところも見どころです。
つまずきやすい所と、読み通すコツ
宝島はなかなか出てこない
物語は海辺の宿屋から始まり、地図が見つかって船が出るまで、陸の上の出来事がしばらく続きます。宿に現れる怪しい男たちが何者なのかを気にしながら読むと、のちの航海につながる手がかりとして楽しめます。
語り手が途中で替わる
物語の大部分はジムが語りますが、いくつかの章では医師リブシーが語り手になります。章の初めで「私」が誰を指しているのかを確かめると、戸惑わずに読み進められます。
船乗りの名前が多い
船には多くの乗組員がいて、名前を伏せたまま「赤い帽子の男」のように呼ばれる者もいます。主な人物はシルバーと数人に絞って覚え、ほかは船乗りの一団として読んでもかまいません。
雨の夏に生まれた冒険物語
着想を得たのは1881年の夏、スコットランドのブレーマーでした。悪天候で家族が家にこもるなか、スティーヴンソンは12歳の継子ロイド・オズボーンを楽しませるため、秘密の地図をもとにした宝探しの話を考えます。執筆の途中では父親とも筋を語り合い、父の出した案も取り入れています。
仮題は「海のコック(The Sea Cook)」でしたが、雑誌『Young Folks』では別の題で、1881年10月から翌年1月まで17回にわたって週刊で連載されました。筆名は「ジョージ・ノース船長」です。キングズリーの紀行、ジョンソンの海賊史、ポーの『黄金虫』から素材を借りたことを、作者は手紙などで認めています。シルバーには、片足を失った友人の詩人ウィリアム・アーネスト・ヘンリーの面影が重ねられたとされています。
出世作から映像化の定番へ
1883年11月に単行本が出ると、スティーヴンソンにとって初めて商業的にも批評の面でも成功した作品になりました。政治家グラッドストンが知人の家でこの本を見て欲しくなり、翌日ロンドン中の本屋を探させたという話も伝わっています。日本でも、冒険小説として、また少年の成長を描く教養小説として長く読まれてきました。
映画やテレビへの翻案は50本を超えるとされます。1934年に初めてのトーキー版が作られ、1950年にはディズニーが映画にしました。日本では1971年の『どうぶつ宝島』や1978年からのテレビアニメがあり、ディズニーは舞台を宇宙に移した『トレジャー・プラネット』も作っています。映画評論家のロジャー・イーバートは、スティーヴンソンを大人のための見事な物語作家だと書いています。
結末まで知りたい人へ
ネタバレを含むあらすじを開く
航海の途中、りんご樽に隠れていたジムは、シルバーがかつてフリントの手下だったこと、宝を手に入れたあとで反乱を起こし船長たちを殺すつもりでいることを耳にし、船長たちに知らせます。島に着くと海賊たちは船を奪い、船長たちは島の古い砦に立てこもって戦います。ジムは一人で船に忍び込んで錨綱を切り、襲ってきた海賊イズラエル・ハンズを撃ち倒します。砦へ戻るとそこは海賊に占められており、船長側は休戦と引き換えに地図を渡していました。
シルバーはジムを人質に宝の場所へ向かいますが、隠し場所は空でした。怒った手下たちがシルバーとジムを殺そうとしたところへ、医師たちとベン・ガンが駆けつけます。宝はベン・ガンがとうに見つけ、自分の洞穴に移していたのです。一行は宝を積み、生き残った海賊三人を島に残して出航します。帰りに立ち寄った港でシルバーは金の袋を持って姿を消し、ジムたちは帰国して宝を分けます。ジムは、残りの宝を求めて呪われた島へ戻ることを拒みます。
よくある疑問
- 『宝島』はどんな話?
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宿屋の少年ジムが海賊の宝の地図を手に入れ、大人たちと船で島へ宝を探しに行く冒険小説です。船のコック、ジョン・シルバーとの関係が物語の軸になります。
- 子ども向けの本なの?
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スティーヴンソンが12歳の継子のために書き始め、子ども向けの雑誌に連載された作品です。一方で、映画評論家のロジャー・イーバートのように、大人になってから読んで大いに楽しんだという人もいます。
- 宝島にモデルはある?
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スティーヴンソン自身は、実在の場所をもとにしたとは言っていません。ただし、カリブ海やスコットランドなど、モデルだと名乗る島が各地にあります。
- 手塚治虫の『新宝島』と関係ある?
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関係はありません。手塚治虫の漫画『新宝島』は、この作品とは別の作品です。
