ロビンソン・クルーソー

ロビンソン・クルーソーデフォー
原題
Robinson Crusoe
発表
1719年
初出
1719年4月25日に作者名を伏せて刊行
形式・長さ
小説・長編
手ごわさ
ふつう

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ひとことで言うと

両親の反対を押し切って海に出た青年ロビンソンが、難破して南米の沖の無人島にただ一人流れ着きます。道具を作り、作物を育て、たった一人で28年間を生き抜いた男の手記という体裁の物語です。無人島ものというジャンルの名前の元にもなりました。

こんな人に

  • 限られた道具で暮らしを一から組み立てる話にわくわくする人に
  • 孤独な時間の中で自分と向き合ったことがある人に
  • 子ども向けの要約で知っている物語を、元の形で読み直したい人に

あらすじ(ネタバレなし)

イングランドの港町で育ったロビンソン・クルーソーは、法律家になってほしいという両親の願いに背き、1651年に航海へ出ます。最初の船は嵐で難破しますが、海への憧れは消えません。次の航海では海賊に襲われ、ムーア人の奴隷にされてしまいます。

2年後、少年ジュリとともに小舟で逃げ出したロビンソンは、ポルトガル船に救われてブラジルへ渡り、農園を手に入れます。けれども数年後、奴隷を買い付ける遠征に加わった船が嵐に遭い、オリノコ川の河口近くの島で座礁します。乗組員は皆命を落とし、生き残ったのはロビンソンと犬と2匹の猫だけでした。

絶望を乗り越えたロビンソンは、船が完全に壊れる前に、武器や道具、食料を島へ運び出します。洞窟を掘り、柵で囲った住まいを作り、木の十字架に刻み目を入れて暦にします。こうして、誰もいない島での長い暮らしが始まります。

主な登場人物

ロビンソン・クルーソー
語り手。ヨーク出身の船乗りで、無人島での暮らしを自ら記録したという体裁で語る。
フライデー
島でロビンソンと出会い、ともに暮らすことになる男。名前はロビンソンがつけた。
ジュリ
奴隷にされたロビンソンとともに、小舟で逃げ出す少年。
ポルトガル船の船長
アフリカ沖でロビンソンを救い、ブラジルでの農園経営を助ける人物。
ロビンソンの両親
息子に法律家の道を望み、船乗りになることに反対していた。

見どころ・おもしろいところ

  1. 無人島の暮らしの工夫

    ロビンソンは狩りをし、大麦や米を育て、ブドウを干してレーズンを作り、焼き物の技術まで身につけます。ヤギを飼い、オウムを手なずけ、船から運んだ道具と自作の道具で一つずつ生活を整えていきます。何をどう作ったかを追うだけでも、手作りの記録として読めます。

  2. 孤独の中で深まる信仰

    島で聖書を読むようになったロビンソンは、信仰を深め、神に感謝するようになります。デフォーは清教徒の道徳家でもあり、宗教的な省察が物語のあちこちに織り込まれています。子ども向けの冒険物語では省かれがちな部分ですが、主人公の心の変化を知る手がかりになります。

  3. 本人の手記を装った小説

    初版は作者名を出さず、題名にも本人の筆によると書き添えられていました。実際の航海記であるかのように見せる仕掛けで、上陸した日付や島の緯度まで細かく書き込まれています。この作品は、のちに写実的な小説の始まりと位置づけられました。

つまずきやすい所と、読み通すコツ

島に着くまでが長い

物語の序盤は、家出、難破、奴隷生活、ブラジルでの農園経営と、島へ着く前の出来事が続きます。無人島の暮らしが始まるのはその後だと知っておくと、冒頭で焦らずに読み進められます。

第1部だけで完結している

ロビンソンの物語は第3部まで出ていますが、一般に『ロビンソン・クルーソー』と呼ばれるのは第1部です。島から帰国するまでが第1部なので、まずはここだけ読めば一つの物語として完結します。

実在の漂流者から生まれた物語

1704年、スコットランドの航海長アレキサンダー・セルカークは、船長と争ってチリ沖の島に置き去りにされました。彼は4年4か月を自給自足で生き延び、その体験談は1713年にロンドンの新聞で紹介されています。デフォーはこの話などから着想を得て、1719年にこの小説を出しました。

主人公の姓クルーソーは、ドイツ語の姓「クロイツナー」がなまったものという設定です。作品にはデフォーの清教徒としての道徳観が色濃く表れており、キリスト教の書物としても評価されています。一方で、物語はセルカークではなく、さまざまな海賊の物語に影響を受けたものだという見方もあります。

700を超える版と「ロビンソン物語」

初版は1719年の年内に4版を重ねました。19世紀の終わりには、絵本や翻案を含めて700を超える版や翻訳が出ており、西洋文学の歴史でこれほど多い本はないとされています。似た漂流物語は「ロビンソナード」と呼ばれ、『スイスのロビンソン』のような作品も生まれました。

経済学者もこの作品に注目し、マルクスは『資本論』で、ウェーバーはプロテスタンティズムと資本主義の精神を論じる中でロビンソンを取り上げました。日本では幕末にオランダ語訳から重訳され、1857年には挿絵入りの『魯敏遜漂行紀略』が出ています。

結末まで知りたい人へ

ネタバレを含むあらすじを開く

何年もたったころ、ロビンソンは、近くの島の住民がときおり上陸して捕虜を殺し、食べていることを知ります。やがて逃げ出した捕虜の一人を助け、出会った曜日にちなんでフライデーと名づけ、英語を教えてキリスト教徒にします。その後、二人は上陸した一団から捕虜を救い出し、そのうちの一人はフライデーの父でした。

そこへ反乱の起きたイギリス船が現れ、ロビンソンは船長を助けて船を取り戻させます。反乱者たちを島に残し、ロビンソンは1686年12月に島を離れ、翌年イギリスに戻ります。家族はすでに彼を死んだものと思っていましたが、ブラジルの農園の利益によって大きな富を手にします。最後はフライデーとともに陸路でイギリスへ向かい、ピレネー山脈で飢えた狼の群れと戦います。

よくある疑問

『ロビンソン・クルーソー』はどんな話?

難破して無人島に流れ着いた船乗りロビンソンが、28年にわたってたった一人で暮らしを築き、やがて故郷へ帰るまでの物語です。日本では『ロビンソン漂流記』の題でも知られています。

実話がもとになっている?

ロビンソンは架空の人物です。ただ、チリ沖の島に4年4か月取り残されたスコットランドの航海長アレキサンダー・セルカークの体験談などがモデルになったとされています。セルカークが暮らした島は、のちに「ロビンソン・クルーソー島」と改名されました。

続編はある?

好評を受けて、同じ1719年に第2部『ロビンソン・クルーソーのさらなる冒険』が出ました。1720年には、冒険ではなく宗教などをテーマにした随筆からなる第3部も刊行されています。

原題はどんな題?

初版の正式な題はとても長く、ヨークの船乗りがアメリカ沖の無人島で28年間一人で生き延び、最後は海賊によって救出された、という内容まで題の中で説明しています。

出典

あらすじと解説は、上の資料と作品の本文をもとに編集部が書いています。表紙の絵はこのサイトで作った装丁で、実際の本の表紙ではありません。

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