- 原題
- Voyage au centre de la Terre
- 発表
- 1864年(1867年に増補改訂版)
- 初出
- パリのエッツェル社から刊行
- 形式・長さ
- 小説・長編
- 手ごわさ
- すぐ読める
- 書棚
- SF・幻想文学
古い本にはさまっていた暗号のメモを手がかりに、ドイツの教授と甥がアイスランドの火山の火口から地球の中心を目指す冒険小説です。地下深くには、太古の生き物が生きる世界が広がっています。ヴェルヌが人気作家として認められるきっかけになった作品です。
こんな人に
- 地図にない場所へ分け入る探検の話が好きな人に
- 化石や恐竜、地層の話にわくわくする人に
- 慎重派と行動派の二人旅のかけあいを楽しみたい人に
あらすじ(ネタバレなし)
1863年5月、ドイツのハンブルク。鉱物学の教授オットー・リーデンブロックは、手に入れた古書に、ルーン文字で書かれた暗号のメモがはさまっているのを見つけます。本には、16世紀アイスランドの錬金術師アルネ・サクヌッセンムの名が記されていました。
教授と甥のアクセルは解読に取りかかり、時間はかかったものの、アクセルが偶然その意味に気づきます。アイスランドのスネッフェルス山の火口を下っていけば、地球の中心にたどり着ける。メモにはそう書かれていたのです。
すっかり興奮した教授は、すぐに旅支度を整え、気の進まないアクセルを連れてアイスランドへ向かいます。現地で無口で頼もしい案内人ハンスを雇い、三人は火山の火口から地の底へ降りていきます。
主な登場人物
- アクセル
- 語り手。教授の甥で、慎重な若い学生。教授の名付け子グラウベンと婚約している。
- オットー・リーデンブロック教授
- ハンブルクの学院の教授。鉱物学や地質学に通じた気難しい学者で、思い立つとすぐ動く。
- ハンス
- アイスランドで雇われた案内人。ケワタガモの猟師で、何があっても動じない。
- グラウベン
- 教授の名付け子で、アクセルの恋人。ハンブルクに残る。
- アルネ・サクヌッセンム
- 暗号のメモを残した16世紀の錬金術師。作者が作った架空の人物。
見どころ・おもしろいところ
慎重派と行動派のかけあい
物語は甥のアクセルが「わたし」として語ります。地下の高温を心配し続けるアクセルと、ひたすら突き進む教授の懐疑派と行動派のかけあいが、冒険を科学の議論にもしています。
旅しながら学ぶ科学
前半はアイスランドの風物、後半は地質学や古生物学と、当時の科学の知識が物語にたっぷり織り込まれています。読者を楽しませながら学ばせる、ヴェルヌらしい書き方がよく表れた作品です。
地上にない光景
地下には、地上ではとうに絶滅した太古の生き物が生き続ける世界が広がっています。巨大なキノコの森など、地上では見られない光景が次々に現れ、探検の先に何があるのかを追いたくなります。
つまずきやすい所と、読み通すコツ
地下に降りるまでが長い
暗号の解読とアイスランドへの旅に、かなりの章が使われます。前半はアイスランドの紀行文として風物を楽しむつもりで読むと、なかなか地下に行かないもどかしさが和らぎます。
科学の説明は流してよい
鉱物や地層、化石の名前が次々に出てきます。物語の科学は19世紀半ばの知識にもとづいていて今とは違う説もあるので、細かい名前は読み流しても冒険の筋は追えます。
未来小説の代わりに出た一冊
ヴェルヌは1863年、初の長編『気球に乗って五週間』で好評を得ました。次に書いた未来の科学小説『二十世紀のパリ』は、出版社に暗く荒唐無稽だとして出版を断られます。その代わりに発表されたのが本作でした。
ヴェルヌは1859年にスコットランドを訪ね、エディンバラの死火山などを見ています。物語の科学は、1863年に出たばかりの科学書などをもとにした19世紀半ばの知識で組み立てられています。地震を研究する地質学者とも親しく、その知見も生かされました。
人気作家への足がかり
本作は商業的に成功し、ヴェルヌは出版社から年に3作ほどの執筆を求められる人気作家になりました。1867年には、先史時代についての2章を加えた改訂版が出ています。
地底を舞台にした物語はそれ以前からありましたが、古い時代の世界が今も残っているという発想は新しいものでした。コナン・ドイルの『失われた世界』やトールキンの『ホビットの冒険』にも影響を与えたとされ、1959年の映画『地底探検』をはじめ何度も映像化されています。
結末まで知りたい人へ
ネタバレを含むあらすじを開く
水が尽きかけた一行を、ハンスが地下の川を見つけて救います。アクセルははぐれて大けがを負いますが、二人に助け出されます。やがて三人は、電気の光に照らされた大空洞にたどり着きます。そこにはキノコの森と広い海がありました。筏で海を渡る途中、首長竜と魚竜の戦いを目にし、嵐で打ち上げられた浜では化石の墓場や、マストドンの群れを見張る巨大な人のような生き物にも出会います。
サクヌッセンムの頭文字が刻まれた通路は岩でふさがれていて、三人は岩を爆破します。すると海の水がなだれ込み、三人は筏ごと深い穴へ押し流されます。やがて筏は火山の火道を押し上げられ、彼らはイタリア南部のストロンボリ島の噴火とともに地上へ放り出されます。ハンブルクに戻った三人は英雄として迎えられ、アクセルはグラウベンと結婚します。
よくある疑問
- 『地底旅行』はどんな話?
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暗号のメモに導かれたドイツの教授と甥が、案内人とともにアイスランドの火山から地下へ降り、地球の中心を目指す冒険物語です。
- アルネ・サクヌッセンムは実在の人物?
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実在と誤解されることもありますが、架空の人物です。モデルはアイスランドの文献学者アルニ・マグヌッソンだといわれています。
- タイトルの意味は?
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原題はフランス語で、直訳すると「地球の中心への旅」です。日本では『地底探検』などの題でも出ています。
- 映画はある?
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1959年のアメリカ映画『地底探検』がよく知られ、筋はおおむね原作に沿いながら、原作にない女性の同行者などが加えられています。2008年の『センター・オブ・ジ・アース』は、小説の出来事が事実だったという前提で作られた映画です。
