ジュール・ヴェルヌ
Jules Verne
1828年〜1905年・フランス
気球、潜水艦、月世界旅行と、19世紀の科学をもとに途方もない冒険を書いたフランスの作家です。ウェルズらとともにSFの開祖とされ、「SFの父」とも呼ばれます。子ども向けの読み物や映画、アニメの原作としても、広く親しまれてきました。
最初の一冊
ヴェルヌの科学への関心と冒険の楽しさに加え、謎めいたネモ船長という忘れがたい人物にも出会える代表作だからです。
港町ナントから冒険の世界へ
ヴェルヌはフランス西部の港町ナントで、弁護士の家に生まれました。ロワール川の中州の島で子ども時代を過ごし、11歳のときには見習い水夫としてインド行きの船にこっそり乗り込み、途中で父に連れ戻されたという逸話が残っています。父の勧めでパリの法律学校に進みますが、デュマ父子と知り合って劇作家を志しました。
自然科学の論文を読み、好きな作家ポーが科学的な事実を物語に取り入れる手法にも関心を寄せます。1863年、友人ナダールの気球に触発されて書いた『気球に乗って五週間』が大評判となり、編集者エッツェルと契約を結んで、生涯にわたって科学冒険小説を書き続けました。晩年はアミアンの市会議員も務め、1905年に同地の自宅で亡くなっています。
先見性と文明への批判
ヴェルヌの作品は、当時の科学技術の知識を下敷きにして、地球の果てや海の底、月までを読者に旅させます。ネモ船長をはじめ、作中には虐げられた民族の側に立つ人物も登場し、作者自身も平和主義者・進歩主義者として知られていました。
長いあいだ「子ども向け」と軽く見られてきましたが、科学技術への先見性や、死後に見つかった『二十世紀のパリ』に表れた文明批評の精神が見直されています。日本では1878年(明治11年)に『八十日間世界一周』が訳され、これが日本で最初のフランス語原典からの翻訳書になりました。
