- 原題
- The Great Gatsby
- 発表
- 1925年
- 初出
- 1925年4月10日、チャールズ・スクリブナーズ・サンズ社から刊行
- 形式・長さ
- 小説・中編
- 手ごわさ
- ふつう
1922年のニューヨーク郊外で、毎晩のように豪華なパーティーを開く謎の大富豪ギャツビー。その隣に越してきた青年ニックの目を通して、ギャツビーが胸に秘めてきた想いと、ジャズ・エイジの華やかさの裏側が描かれます。禁酒法時代のアメリカを舞台にした、短めの長編です。
こんな人に
- 過去をやり直せると信じたくなったことがある人に
- 華やかな場所ほど孤独が目立つと感じたことがある人に
- 短い長編でじっくり人間関係を味わいたい人に
あらすじ(ネタバレなし)
1922年の春、中西部出身でイェール大学を出たニック・キャラウェイは、証券の仕事を覚えるためにニューヨークへやって来ます。借りた小さな家は、ロングアイランドの「ウェスト・エッグ」にあり、隣には謎めいた大富豪ジェイ・ギャツビーの大邸宅が建っていました。
ある晩、ニックは湾の向こうの「イースト・エッグ」に住む遠縁のデイジーと、その夫で大学時代の知り合いトムの家に招かれます。そこで出会ったゴルフ選手のジョーダンから、トムには愛人がいると聞かされます。家に帰ったニックは、ギャツビーが一人で芝生に立ち、湾の向こうの緑の灯を見つめている姿を目にします。
やがてニックのもとに、ギャツビーのパーティーへの招待状が届きます。大勢の客が集まるのに、主人のギャツビーについて確かなことを知る人はおらず、過去をめぐってさまざまな噂が飛び交っています。ギャツビーと親しくなるにつれて、ニックは彼が5年もの間抱え続けてきた想いを知ることになります。
主な登場人物
- ニック・キャラウェイ
- 語り手。29歳。中西部の名家の出で、ギャツビーの隣に住む。デイジーの遠縁にあたる。
- ジェイ・ギャツビー
- ウェスト・エッグの大邸宅の主。本名はジェームズ・ギャッツで、富の出どころがはっきりしない。
- デイジー・ブキャナン
- トムの妻。ケンタッキー州ルイビルの良家の出で、結婚前は社交界の花形だった。
- トム・ブキャナン
- デイジーの夫。シカゴの資産家の出で、学生時代はフットボールの花形選手。横柄な男。
- ジョーダン・ベイカー
- デイジーの古い友人で、名の知れたゴルファー。ニックと一時親しくなる。
- マートルとジョージ・ウィルソン
- 「灰の谷」で自動車整備店を営む夫婦。妻のマートルはトムの愛人。
見どころ・おもしろいところ
湾の向こうの緑の灯
ギャツビーが夜ごと見つめる対岸の桟橋の緑の灯は、物語の始まりと終わりの両方に出てきます。その灯がどこにあり、なぜ彼がそれを見つめるのかがわかると、この小説全体の見え方が変わります。
主人のいないようなパーティー
ギャツビー邸のパーティーには大勢が押しかけますが、主人を知る人はほとんどいません。ギャツビーは豪華な宴を開きながら、自分ではその騒ぎに加わらない人物として描かれます。にぎやかな場面ほど、彼の孤独が目立ちます。
二つの「エッグ」と灰の谷
成金の住むウェスト・エッグ、古くからの富豪が住むイースト・エッグ、そしてゴミ捨て場の広がる「灰の谷」。住む場所が人物の階層を表すように配置されていて、誰がどこに住んでいるかを意識すると人間関係がつかみやすくなります。
つまずきやすい所と、読み通すコツ
語り手と主人公が別の人
物語を語るのはニックで、題名のギャツビーは隣人として外から描かれます。ギャツビーのことはニックが見聞きした範囲でしかわからないので、噂と本人の言葉がずれるところに注意すると、謎解きのように読めます。
主人公がなかなか登場しない
ギャツビー本人がニックの前に名乗り出るのは、最初のパーティーの場面です。それまではデイジー夫妻やトムの愛人をめぐる話が続くので、序盤は人物紹介の章と割り切って読むと先へ進めます。
ロングアイランドで書かれた三作目
フィッツジェラルドは1922年6月に三作目の長編の構想を始め、10月にはニューヨーク州ロングアイランドのグレートネックに移り住みました。湾をはさんだ新興の金持ちの町と古い富豪の町の対比が、ウェスト・エッグとイースト・エッグの着想になりました。
作者自身、若いころに裕福な家の娘ジネヴラ・キングに恋をし、家柄の違いを理由に相手の家族に反対された経験があります。その後、軍の将校として南部に駐在していたときに出会ったゼルダと婚約し、結婚のために成功を急いだところも、ギャツビーと重なるとされています。原稿は1924年に仕上がり、編集者の助言を受けてローマで書き直されました。
売れなかった本から定番の古典へ
刊行当時の書評はおおむね好意的でしたが、売れ行きは前の二作に及ばず、10月までの売り上げは2万部に届きませんでした。作者は1940年、自分の作品は忘れられたと思いながら亡くなっています。
評価が変わったのは死後です。第二次世界大戦中には、兵士向けのペーパーバックとして15万5千部が海外の米兵に配られ、読者を広げました。やがてアメリカ文学を代表する長編とみなされるようになり、2020年初めまでに世界で約3000万部が売れたとされます。映画化も1926年のサイレント映画から始まり、1974年にはロバート・レッドフォード、2013年にはレオナルド・ディカプリオがギャツビーを演じています。
結末まで知りたい人へ
ネタバレを含むあらすじを開く
ニックの手引きでギャツビーとデイジーは再会し、二人の仲は再び燃え上がります。二人は1917年ごろ、軍の将校だったギャツビーと出会って恋に落ちましたが、彼が海外へ送られている間にデイジーはトムと結婚していたのでした。やがてトムは二人の関係に気づき、ホテルでギャツビーと言い争って、彼の富が酒の密売で得たものだと暴きます。デイジーはトムのもとに残ることを選びます。
帰り道、デイジーが運転するギャツビーの車がマートルをはねて死なせてしまいます。ギャツビーはデイジーをかばって責任を負うつもりでした。トムから車の持ち主はギャツビーだと聞かされたジョージは、ギャツビーを邸宅のプールで撃ち殺し、自らも命を絶ちます。葬儀に集まった人はわずかでした。ニックは東部に嫌気がさし、中西部へ帰る前に、もう一度湾の向こうの緑の灯を見つめます。
よくある疑問
- 『グレート・ギャツビー』はどんな話?
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謎の大富豪ギャツビーが、かつて愛した女性を取り戻そうとする話です。隣人のニックがその一部始終を語ります。
- 『華麗なるギャツビー』と同じ作品?
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同じ作品です。日本では『グレート・ギャツビー』のほか、『華麗なるギャツビー』『偉大なギャツビー』などの題でも出版されています。映画の邦題は『華麗なるギャツビー』が多く使われています。
- モデルはいる?
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デイジーのモデルは、作者が若いころに恋をしたシカゴの令嬢ジネヴラ・キングとされます。ギャツビーには、作者夫妻のロングアイランドの隣人で、酒の密売で財を成したマックス・ガーラックが一部反映されているといわれています。
- タイトルは最初から決まっていた?
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決まっていませんでした。作者は『ウエスト・エッグのトリマルキオ』など多くの題を考えていましたが、編集者マックスウェル・パーキンズと妻ゼルダが『グレート・ギャツビー』を推し、作者が受け入れました。
出典
あらすじと解説は、上の資料と作品の本文をもとに編集部が書いています。表紙の絵はこのサイトで作った装丁で、実際の本の表紙ではありません。
