- 原題
- Gone with the Wind
- 発表
- 1936年
- 初出
- マクミラン社から刊行
- 形式・長さ
- 小説・大長編
- 手ごわさ
- すぐ読める
南北戦争のさなかのアメリカ南部で、気の強い農園主の娘スカーレット・オハラが、戦争ですべてを失いながらも生き延びようとする大長編です。かなわない恋に執着しつつ、焼け落ちるアトランタや戦後の混乱をくぐり抜ける16歳から28歳までの12年間が描かれます。
こんな人に
- 追い詰められるほど負けん気が出てくる人に
- 好きになれない主人公から目が離せなくなる話が好きな人に
- 戦争で暮らしが一変する時代を物語で知りたい人に
あらすじ(ネタバレなし)
1861年4月、南北戦争が始まろうとしているジョージア州。アイルランド系移民の農園主ジェラルド・オハラの長女で16歳のスカーレットは、近所の名家の青年アシュレーにひそかに恋をしています。ところがアシュレーは、従妹のメラニーとの婚約を発表することになっていました。
翌日、ウィルクス家の屋敷「十二本の樫」で開かれたパーティーで、スカーレットはアシュレーと二人きりになり、思いを打ち明けます。しかし彼は、メラニーと結婚すると答えます。そのやりとりを、評判のよくない男レット・バトラーが物陰で聞いていました。
開戦の知らせに沸くなか、スカーレットは当てつけのように、メラニーのきょうだいのチャールズの求婚を受け入れます。チャールズは出征してまもなく病死し、スカーレットは17歳で息子を抱えた未亡人になります。喪服で過ごす窮屈な暮らしから逃れるようにアトランタへ移った彼女の前に、ふたたびレットが現れます。
主な登場人物
- スカーレット・オハラ
- 主人公。タラ農園の長女で、気が強く計算高い。母エレンを理想の淑女として敬っている。
- レット・バトラー
- チャールストンの名家の出だが、勘当されて社交界から締め出された男。南部の負けを早くから見越している。
- アシュレー・ウィルクス
- 隣の屋敷「十二本の樫」の跡取り。教養ある紳士で、スカーレットが思いを寄せ続ける相手。
- メラニー・ハミルトン
- アシュレーの従妹で婚約者。体は弱いが心優しく、スカーレットを姉のように慕う。
- ジェラルド・オハラ
- スカーレットの父。アイルランドからの移民で、農園を開いて一代で財を築いた。
- マミー
- 母エレンの実家から来た奴隷の乳母。オハラ家に三代にわたって仕え、礼儀に口うるさい。
- ピティパット・ハミルトン
- メラニーの叔母で、アトランタに住む世間知らずの女性。驚くとすぐに気絶する。
見どころ・おもしろいところ
好かれない主人公スカーレット
スカーレットは計算高く自己中心的で、周りの人を自分の都合で動かそうとします。そのかわり、どんな困難にも屈しない意志の強さを持っています。ミッチェルは1936年に、この小説に主題があるとすれば生き延びることだと語っています。
南部の淑女の型と反発
南部の上流の娘は、母エレンのような淑女になり、よい結婚をすることを求められていました。スカーレットはその作法を身につけながらも、窮屈な決まりに内心で反発しています。型どおりに生きるメラニーと比べながら読むと、二人の違いがはっきり見えてきます。
12年を一本道でたどる
物語は1861年から1873年まで、時間の順にまっすぐ進みます。その間にスカーレットは16歳から28歳になり、戦争と戦後の出来事が彼女を少しずつ変えていきます。凝った仕掛けがなく、長さのわりに読みやすい小説として知られています。
つまずきやすい所と、読み通すコツ
近所の名家が次々に出てくる
第1部の冒頭から、タールトン家やフォンティーン家など、オハラ家の近所の農園の人々が大勢登場します。家ごとにまとめて覚えると、あとの場面で名前が出てきたときに迷いません。
戦況の説明は流してもよい
ゲティスバーグの戦いやアトランタ攻防戦など、実際の南北戦争の戦いが数多く出てきます。地名や将軍の名を追いきれなくても、スカーレットの暮らしがどう変わるかに目を向けていれば話は追えます。
黒人の描き方に引っかかる
この小説は奴隷を所有する南部白人の視点で書かれ、奴隷は主人に忠実で満ち足りた人々として描かれています。19世紀半ばから続く南部の農園小説の流れをくむ描き方だと知っておくと、物語と距離をとりながら読み進められます。
療養中に書き始めた物語
マーガレット・ミッチェルは1926年、足首のけがで家にこもっていた間にこの小説を書き始めました。図書館から本を運ぶのに疲れた夫が、自分で書いてみてはどうかと勧めたのがきっかけとされています。最後の章から先に書き、章を飛び飛びに書き進めるという書き方でした。最初の原稿では、主人公の名はパンジー・オハラでした。
1935年、新しい書き手を探していたマクミラン社の編集者が原稿を読み、ベストセラーになると見込みます。ミッチェルはそれから半年をかけて史実を確かめ、冒頭の章を何度も書き直しました。本が出たのは1936年6月30日で、大恐慌から立ち直りかけていたアメリカでは異例の3ドルという値段でした。
大ベストセラーと根強い批判
発売した年の暮れまでに約100万部が売れ、翌1937年にはピュリッツァー賞を受けました。1939年の映画はアカデミー賞で作品賞を含む10部門を受賞しています。日本では1966年に帝国劇場で世界で初めて舞台化され、宝塚歌劇団でも再演が重ねられてきました。
一方で、南部の白人の目からだけ描かれたこの小説は、奴隷制を正当化し、白人の農園主を美化していると批判されてきました。クー・クラックス・クランを好意的に描いた点も問題にされています。2001年には、黒人作家アリス・ランデルが奴隷の側から物語を語り直したパロディ小説を出し、ミッチェル側に著作権侵害で訴えられましたが、連邦高裁は出版の差し止めを認めませんでした。
結末まで知りたい人へ
ネタバレを含むあらすじを開く
北軍が迫るアトランタで、スカーレットはメラニーのお産を助け、レットの手を借りて燃える町を脱出します。たどり着いたタラは荒れ果て、母は亡くなり、父は正気を失っていました。彼女は畑で働いて家を支え、税金を払うために妹スエレンの婚約者フランクと結婚して、店と製材所を切り盛りします。彼女を襲った者たちへの報復に加わったフランクが撃たれて死ぬと、スカーレットはレットと結婚し、娘ボニーが生まれます。
しかしアシュレーへの思いが夫婦を隔て、ボニーは乗馬の事故で死に、メラニーも亡くなります。そのときスカーレットは、本当に愛していたのはレットだったと気づきますが、レットの愛はすでに尽きていました。去っていく彼を前に、スカーレットはタラへ帰って立ち直り、明日はまた別の日だと信じてレットを取り戻そうと心に決めます。
よくある疑問
- 『風と共に去りぬ』はどんな話?
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南北戦争と戦後の混乱のなかで、南部の農園主の娘スカーレット・オハラが、恋に迷いながらも生き延びようとする話です。物語は1861年から1873年までの12年間にわたります。
- タイトルの意味は?
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イギリスの詩人アーネスト・ダウスンの詩の一句から取られた題です。南北戦争という「風」とともに、南部の白人たちの貴族的な文化が消え去ったことを表すとされています。作中でも、故郷のタラが風とともに消えてしまったのではないかとスカーレットが案じる場面で、この言葉が使われます。
- どのくらいの長さ?
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大長編で、全体は5部に分かれています。発表当時には、もっと短く削ったほうがよかったと長さを批判する書評も出ました。
- 続編はある?
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ミッチェル自身は、勧められても続編を書きませんでした。死後、著作権を受け継いだ親族の公認で、1991年にアレクサンドラ・リプリーの『スカーレット』、2007年にドナルド・マッケイグの『レット・バトラー』が出ています。
出典
あらすじと解説は、上の資料と作品の本文をもとに編集部が書いています。表紙の絵はこのサイトで作った装丁で、実際の本の表紙ではありません。
