- 原題
- Anne of Green Gables
- 発表
- 1908年
- 初出
- ボストンのL・C・ページ社から刊行
- 形式・長さ
- 小説・長編
- 手ごわさ
- すぐ読める
カナダのプリンス・エドワード島で、男の子を引き取るはずだった年配の兄妹のもとに、手違いで11歳の赤毛の女の子がやって来ます。おしゃべりで想像力の豊かなアンが、村の人々に囲まれて少女時代を過ごす物語です。36以上の言語に訳され、世界中で読まれてきました。
こんな人に
- 空想にふけって時間を忘れた覚えがある人に
- 自分の居場所を見つけるまでの話に励まされたい人に
- 季節のうつろう田舎の暮らしを思い浮かべたい人に
あらすじ(ネタバレなし)
19世紀の終わり、カナダのプリンス・エドワード島にあるアボンリー村。グリーン・ゲイブルズと呼ばれる家に住む独身のマシューとマリラの兄妹は、農場の手伝いにと、孤児院から男の子を引き取ることにします。
ところが、やって来たのはアン・シャーリーという赤毛の女の子でした。伝言の行き違いで、男の子ではなく女の子が送られてきたのです。アンは赤ん坊のころに両親を亡くし、よその家で年下の子どもの世話をしながら育ち、孤児院に入っていました。
厳格なマリラは、はじめアンを孤児院へ返そうとします。けれど、とめどなくしゃべり、目に映るものに次々と名前をつけていくアンに、無口で内気なマシューは心を動かされます。アンにとって初めての本当の家になるかもしれない場所で、新しい暮らしが始まろうとしています。
主な登場人物
- アン・シャーリー
- 主人公。赤毛とそばかすを気にしている、想像力豊かでおしゃべりな孤児の少女。
- マリラ・カスバート
- マシューの妹。厳格で働き者の現実主義者で、アンをしっかり育てようとする。
- マシュー・カスバート
- マリラの兄。女性が苦手なほど内気だが、最初からアンを気に入る。
- ダイアナ・バリー
- 近くに住むアンと同い年の少女。黒髪で本が好き。出会ってすぐアンの親友になる。
- ギルバート・ブライス
- アンより年上の同級生。学校に戻ってきたばかりで、アンの赤毛をからかってしまう。
- レイチェル・リンド
- カスバート家の近所に住む婦人。働き者で世話好きだが、村のことを何でも詮索したがる。
- ミス・ステイシー
- 途中からアンの学校に来る先生。自然を愛し、生徒を励ましてアンの勉強を後押しする。
見どころ・おもしろいところ
eのつくAnne
アンは、自分の名前は必ず最後にeをつけたAnneと書いてほしいとこだわります。作者は、当時よくあった孤児の少女アンの物語と区別するために、この綴りを選びました。小さなこだわりに、アンという人物がよく表れています。
騒動続きの毎日
髪を黒く染めるつもりで緑色にしてしまうなど、アンはしょっちゅう家の中で騒動を起こします。空想が先走って失敗し、マリラに叱られ、また立ち直る。その繰り返しのなかで、周りの人々との関係が少しずつ深まっていきます。
ギルバートとの張り合い
赤毛を「にんじん」とからかったギルバートの頭に、アンは石板を打ちおろします。それ以来アンは彼と口をきかず、二人は学校で成績のトップを争うようになります。この関係がどう変わっていくかも、物語を通して追いたい筋の一つです。
つまずきやすい所と、読み通すコツ
長いおしゃべりを楽しむ
アンは一度話し出すと、空想や夢を延々と語ります。前半はこのおしゃべりが物語の味わいそのものなので、筋を急いで追うより、アンの言葉づかいを楽しむつもりで読むと進みます。
知らない詩は気にしない
作中にはシェイクスピアや英米の詩、聖書の句が数多く引用されています。元の作品を知らなくても話はわかるので、気になったものだけ後で調べれば十分です。
五年間の成長を追う
物語は11歳のアンがやって来てから、クィーン学院を卒業するまでの約5年にわたります。章ごとにアンの年齢が上がっていくので、その変化を意識して読むと、少女が大人になっていく流れが見えてきます。
屋根裏で眠っていた原稿
モンゴメリはプリンス・エドワード島の田舎で育ち、その少女時代をこの作品に重ねました。原稿は最初、持ち込んだ出版社すべてに断られ、数年のあいだ屋根裏にしまわれていました。読み返して面白いと思い直し、もう一度持ち込むと、今度はすんなり出版が決まったといいます。
作者は、夕暮れどきに窓辺に座り、キャベンディッシュの畑を眺めながらこの小説を書いたと語っています。物語の舞台のアボンリー村は、このキャベンディッシュがもとになっています。
酷評からロングセラーへ
1908年に出版されると、最初の5か月で1万9000部を超えるベストセラーになりました。マーク・トウェインは作者に手紙を送り、アンを絶賛しています。一方で『ニューヨーク・タイムズ』の書評は酷評し、ずっと後の1996年になって、その判断は誤りだったかもしれないと認めました。
これまでに5000万部以上が売れたとされ、映画やテレビドラマ、ミュージカルにもなっています。日本でも『赤毛のアン』の題で親しまれ、1979年にはテレビアニメになりました。北海道芦別市には、グリーン・ゲイブルズのモデルになった家の原寸大の複製も建てられました。
結末まで知りたい人へ
ネタバレを含むあらすじを開く
アンはお茶会でダイアナにラズベリー水と間違えてカシス酒を飲ませ、ダイアナの母に交際を禁じられます。しかしダイアナの妹ミニー・メイが重い病気になった夜、一晩中看病して命を救い、二人の友情は許されます。やがてアンはギルバートたちとクィーン学院に進み、教員の資格を取って、大学に進める奨学金も手にします。
ところが、マシューは全財産を預けていた銀行が倒産したと知り、心臓の発作で亡くなります。目の病気を抱えたマリラはグリーン・ゲイブルズを手放すことを考えますが、アンは大学進学をあきらめて家に残り、近くの学校で教えると決めます。それを知ったギルバートは、自分に決まっていたアボンリーの学校の職をアンに譲ります。アンはようやくギルバートと和解し、グリーン・ゲイブルズで満ち足りた夜を迎えます。
よくある疑問
- 『赤毛のアン』はどんな話?
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男の子と間違えて引き取られた孤児の女の子アンが、プリンス・エドワード島の村で居場所を見つけ、成長していく話です。
- 『赤毛のアン』にモデルはいる?
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作者は、男の子のかわりに女の子を送られた兄妹の話に着想を得て書きました。アンの顔は、雑誌から切り抜いた女性の写真をもとにしています。早くに両親と離れ、島で祖父母に育てられた作者自身の少女時代も重ねられています。
- タイトルの意味は?
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原題はAnne of Green Gablesで、グリーン・ゲイブルズはアンが暮らすカスバート家の呼び名です。「緑の切妻屋根」という意味です。日本語の『赤毛のアン』という題は、最初の邦訳を出すときに出版社の編集者が提案したものです。
- 続編はある?
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あります。モンゴメリはアンを主人公にした続編を何冊も書いていて、すぐ次の作品は『アンの青春』です。
