服を着てしゃべる白ウサギを追いかけて穴に落ちた少女アリスが、体が伸びたり縮んだりしながら、奇妙な生きものたちの住む国を旅する物語です。作者がボート遊びの最中に即興で語った話がもとになっていて、教訓を一切含まない言葉遊びとナンセンスで、子どもの本の歴史を変えたとされています。
こんな人に
- 筋より、場面ごとのおかしさを楽しみたい人に
- 言葉遊びやへりくつの応酬が好きな人に
- アニメや絵本で知っているアリスの原作をのぞいてみたい人に
あらすじ(ネタバレなし)
ある日、アリスは川辺の土手で、本を読む姉の隣に座って退屈していました。そこへチョッキを着た白ウサギが、人の言葉で独り言を言いながら駆けていきます。驚いたアリスはあとを追いかけてウサギ穴に飛び込み、壁に棚が並ぶ長い長い穴を落ちていきます。
たどり着いた広間には、金の鍵と、通り抜けられないほど小さな扉がありました。小瓶の中身を飲むと体はみるみる小さくなり、ケーキを食べると今度は天井につかえるほど大きくなります。困ったアリスが泣き出すと、自分の涙で池ができてしまいました。
その池から上がったアリスは、ネズミやドードー鳥たちと奇妙な競走をし、キノコの上の大きなイモムシに問いただされ、公爵夫人の家ではニヤニヤ笑う猫に出会います。小さな扉の向こうにある美しい庭を目指すアリスの旅は、まだ始まったばかりです。
主な登場人物
- アリス
- 主人公の少女。好奇心が強く、変な相手にも物おじせずに言い返す。
- 白ウサギ
- チョッキを着て懐中時計を持つウサギ。いつも何かに遅れそうで慌てている。
- チェシャ猫
- 公爵夫人の家にいるニヤニヤ笑う猫。姿を消しても笑いだけが残る。
- 帽子屋と三月ウサギ
- 終わらないお茶会を開いている二人。眠ってばかりのネムリネズミも一緒にいる。
- ハートの女王
- トランプの国の女王。気に入らない者がいると、すぐに首をはねるよう命じる。
- イモムシ
- キノコの上で水ぎせるを吸う大きなイモムシ。ぞんざいな口ぶりでアリスに助言する。
見どころ・おもしろいところ
慣用句から生まれた住人
チェシャ猫や帽子屋、三月ウサギは、当時の英語の慣用句から作られた登場人物です。たとえば帽子屋は「帽子屋のように気が狂っている」という言い回しがもとになっています。由来を知ると、彼らの奇妙なふるまいにも理由が見えてきます。
狂ったお茶会
第7章の答えのないなぞなぞや、時間が止まったままのお茶会は、作品でいちばん有名な場面の一つです。この挿話は、手書きの原型にはなく、出版のときに新しく書き足されたものでした。
テニエルの挿絵
物語の冒頭でアリスは、絵も会話もない本の何がおもしろいのかと考えます。作者は挿絵を重んじ、画家ジョン・テニエルに細かな注文を出しました。物語と挿絵がよく合った例として知られ、アリスの姿のイメージはここから広まりました。
つまずきやすい所と、読み通すコツ
パロディの元歌は忘れられた
作中でアリスが口ずさむ詩の多くは、当時よく知られていた教訓詩や流行歌の替え歌です。元になった詩の多くは今では忘れられているので、意味がわからなくても気にせず、調子の良さを楽しめば十分です。
筋を追わず場面を楽しむ
全12章は、アリスがある場所から次の場所へ移るたびに新しい相手と出会う形で進みます。章ごとにほぼ一話完結なので、筋のつながりを気にせず、一章ずつ寄り道のように読むと楽に進めます。
ボートの上で生まれた物語
物語のもとは、1862年7月4日にオックスフォード近郊で行われたボートのピクニックです。数学者でもあった作者は、リデル家の三姉妹のうち10歳のアリスのために、少女の冒険物語を即興で語りました。それを書きとめた手書き本『地下の国のアリス』を、作者は挿絵や装丁まで自分で仕上げてアリスに贈っています。
知人の作家ジョージ・マクドナルド夫妻に出版を勧められ、作者は内輪のジョークを除き、新しい挿話を加えて分量をほぼ2倍の約3万5000語に増やしました。作中には身内を思わせる人物も残っていて、コーカス・レースに出てくるドードー鳥は、本名がドドソンだった作者自身を指すとされます。
教訓から子どもの本を解き放つ
当時のイギリスの子ども向けの本は、知識や信仰心、道徳心を教えこむためのものがほとんどでした。教訓を一切含まず、子どもを楽しませるためだけに書かれたこの作品は画期的で、児童文学の新しい地平を開いた古典と評価されています。
刊行後は着実に売れ、1886年には7万8000部に達しました。聖書やシェイクスピアに次ぐと言われるほど多くの言語に訳されています。1951年のディズニーのアニメーション映画をはじめ、映像化や翻案、パロディの例も数えきれないほどあります。
結末まで知りたい人へ
ネタバレを含むあらすじを開く
小さな扉をくぐって美しい庭に入ったアリスは、トランプの兵隊たちとハートの女王に出会い、フラミンゴを木槌にしたクロッケーに加わります。女王は参加者に次々と死刑を宣告していきます。そのあとアリスは代用ウミガメとグリフォンから、でたらめな学校の話や歌を聞かされます。
最後は、ハートのジャックが女王のタルトを盗んだ疑いで裁かれる裁判です。証人として呼ばれたアリスの体はどんどん大きくなり、こじつけだらけの裁判に我慢できなくなって、相手はただのトランプにすぎないと叫びます。するとトランプがいっせいに飛びかかってきて、気がつくとアリスは土手の上、姉のひざの上で目を覚ましていました。すべては夢だったのです。
よくある疑問
- 『不思議の国のアリス』はどんな話?
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白ウサギを追って穴に落ちた少女アリスが、体の大きさを変えながら、しゃべる動物やトランプたちの不思議な国を冒険する話です。
- アリスにモデルはいる?
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作者の知人の娘アリス・リデルです。1862年7月4日、作者はリデル家の三姉妹とボートで出かけ、その道中にアリスという少女の物語を即興で語りました。それを書き留めてほしいとせがまれたことが、この本の始まりです。
- 『地下の国のアリス』とは?
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作者がアリス・リデルのために手書きで作った、この作品の原型です。出版にあたってチェシャ猫や狂ったお茶会などが書き足され、約1万8000語から約3万5000語に増えました。
- 続編はある?
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1871年に続編『鏡の国のアリス』が出ています。
出典
あらすじと解説は、上の資料と作品の本文をもとに編集部が書いています。表紙の絵はこのサイトで作った装丁で、実際の本の表紙ではありません。
