あなたに近い文豪は
夏目漱石
人の心の奥をのぞきたい観察者
人づきあいの中で、言葉にされなかった気持ちが気になるタイプです。漱石は、恋や友情、師弟のあいだで揺れる心を、身近な言葉でじっくり描いた作家です。重たい話だけでなく、とぼけたユーモアの作品もあります。
最初に読むなら、この3冊
- こころこころ
鎌倉の海で出会った「先生」を慕う青年が、やがて先生の隠してきた過去を知ることになります。後半は先生が青年に宛てた長い手紙で、若い日の友人Kとの間に起きたことが打ち明けられます。上・中・下の三部構成で、恋と友情、消えない罪の意識が描かれます。
- 坊っちゃん坊っちゃん
まっすぐで無鉄砲な江戸っ子の青年が、四国の中学校に数学教師として赴任し、生徒のいたずらや教師たちの陰険なかけひきに真正面からぶつかっていきます。同僚をあだ名で呼ぶ痛快な語りで進む、漱石の作品の中でも特に読みやすい中編です。
- 夢十夜夢十夜
「こんな夢を見た」という書き出しで知られる、十の夢を一夜ずつ語る短い連作です。死にゆく女との約束、背中におぶった不気味な子ども、仁王を彫る運慶など、時代も場面もばらばらな夢が並びます。漱石には珍しい幻想的な味わいの作品です。
