筒井康隆
1934年〜・日本
どんな作家?
ナンセンスなSFと乱暴なまでの笑いから出発し、やがて小説の形そのものを壊す実験的な作品へと進んだ作家です。星新一・小松左京と並んで「SF御三家」と呼ばれます。娯楽小説と純文学の境界を越えて書き続けてきました。
最初の一冊
時をかける少女時をかける少女
中編で短く、筒井作品のなかでは珍しく素直な青春SFです。何度も映像化された物語の原作を、まず原点の形で味わえます。
演劇青年からSF作家へ
1934年、大阪市に生まれました。父は動物学者で、のちに大阪市立自然史博物館の初代館長となった筒井嘉隆です。同志社大学で学ぶかたわら劇団で舞台に立ち、俳優として高い評価を受けたこともありました。
卒業後は会社勤めをしながら、1960年に父や弟たちとSF同人誌『NULL』を創刊します。この雑誌が江戸川乱歩の目にとまり、作品が商業誌に転載されて作家への道が開けました。1965年に東京へ移って専業作家となり、最初の作品集『東海道戦争』を出しています。
1993年には、教科書に収められる作品の表現をめぐる騒動を受けて断筆を宣言し、3年あまり小説の発表をやめました。その後に復帰し、ジュブナイル小説や老いをテーマにした作品も書いています。
笑いと実験の作風
初期は、社会への風刺からナンセンスな笑いを引き出す短編を多く書きました。1970年代からはさまざまな文体を試す実験的な作品が増え、章ごとに使える文字が一つずつ減っていく『残像に口紅を』のような作品も生まれます。小説が作り物であることを物語の中で明かすメタフィクションの手法も、筒井の得意とするところです。
泉鏡花文学賞、谷崎潤一郎賞、川端康成文学賞、日本SF大賞など多くの賞を受けています。日本SF大賞の創設に力を尽くし、日本SF作家クラブの会長も務めました。
