アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
Antoine de Saint-Exupéry
1900年〜1944年・フランス
郵便飛行のパイロットとして空を飛びながら、その体験をもとに『夜間飛行』『人間の土地』を書いたフランスの作家です。亡命先のニューヨークで書いた『星の王子さま』は、世界中で読み継がれています。第二次世界大戦中、偵察飛行に出たまま消息を絶ちました。
最初の一冊
作者自身の挿絵が入った短い物語で、砂漠への不時着という飛行士としての体験と、作者の人間観の両方に触れられます。子どもの頃に読んだ人も、大人になって読み返すと新しく見えてきます。
郵便飛行士から作家へ
1900年、リヨンに生まれました。3歳で父を亡くし、少年時代から飛行機と文学が好きでしたが、勉強は苦手だったといいます。兵役で陸軍の飛行連隊に入って操縦士となり、退役後は民間の郵便航空会社で欧州と南米を結ぶ航路の開拓などに携わりました。1926年に作家として本格的に歩み始め、1931年の『夜間飛行』、1939年の『人間の土地』がベストセラーになります。
1935年にはフランスとベトナムの間の飛行記録に挑み、機体の故障でサハラ砂漠に不時着しました。3日後に徒歩で生還したこの体験は、『星の王子さま』に反映されています。第二次世界大戦では偵察部隊に加わり、フランスの敗戦後はアメリカへ亡命しました。その後、自由フランス軍に志願して前線に戻り、1944年7月31日、コルシカ島から単機で偵察に出たまま消息を絶ちます。1998年にマルセイユ沖で、彼の名を刻んだブレスレットが見つかりました。
空から見た人間
作品の多くは、パイロットとしての自分の体験を素材にしています。豊かな想像力と、人間の本質を見極める観察眼から生まれた作品は、詩情豊かな名作として評価されてきました。『人間の土地』ではアカデミー・フランセーズ賞を受けています。
1942年の『戦う操縦士』は、ヒトラーの『我が闘争』に対する民主主義の側からの返答と評され、英訳版がアメリカでベストセラーになりました。日本でも長く読まれ、1920年代の飛行艇乗りを描いた映画『紅の豚』の宮崎駿は、『人間の土地』の文庫のカバー絵とあとがきを手がけています。
