サマセット・モーム

サマセット・モーム

W. Somerset Maugham

1874年〜1965年・イギリス

どんな作家?

パリに生まれ、10歳で孤児になったイギリスの小説家・劇作家です。医師の資格を持ち、第一次世界大戦では諜報部員としても活動しました。平明な文体と巧みな筋運びで広く読まれ、その底には人間の矛盾を見つめる冷めた目があります。

最初の一冊

月と六ペンスモーム月と六ペンスモーム・長編

モームを人気作家にした出世作で、謎めいた画家の生涯を語り手が少しずつ明かしていく構成が読みやすい作品です。モームの語りのうまさと、人間を突き放して見る目の両方がよくわかります。

孤独な少年期と諜報の日々

1874年、パリの英国大使館に勤める弁護士の家に生まれました。8歳で母を、10歳で父を亡くし、イングランドの牧師の叔父に引き取られます。学校では英語がうまく話せず、生まれつきの吃音もあってからかわれ、それは生涯のコンプレックスになりました。ロンドンの医学校で学んだのち、1897年に最初の小説を出し、医師の資格も得ています。

その後は劇作家として名を上げ、第一次世界大戦では野戦病院に勤めたのち、諜報機関に移りました。1917年には英国の情報部員としてロシア革命のさなかのペトログラードに派遣されています。療養中に構想した『月と六ペンス』が1919年にベストセラーとなり、世界的な作家になりました。晩年は南フランスの邸宅を本拠に旅を続け、91歳で亡くなっています。

物語を語ることにこだわった作家

モームは、面白い作品こそが自分の文学だと考え、物語性こそが小説の真髄だと信じていました。そのため長く「通俗作家」と評されましたが、作品の底には人生を無意味で無目的なものと見る、シニカルな人間観があります。

生涯にわたって世界各地を船で旅し、南太平洋やアジアを舞台にした短編を数多く残しました。文体は非常に平明で、戦後の日本では、自伝的な評論『要約すると』などが英語の入試問題や教材として広く使われました。

モームの作品