樋口一葉

樋口一葉

1872年〜1896年・日本

どんな作家?

明治の半ばに、貧しい暮らしの中から小説を書き、24歳で亡くなった女性作家です。『たけくらべ』『にごりえ』『十三夜』などの名作は、亡くなるまでのわずか1年余りのあいだに集中して書かれました。近代以降で最初の職業女性作家とされています。

最初の一冊

たけくらべ樋口一葉たけくらべ樋口一葉・短編

一葉の名を一気に広めた代表作で、子どもたちの世界を描いた話なので、文語の文章でも情景を追いやすいからです。

家を背負って書いた日々

本名は奈津で、東京府の下級役人の家に次女として生まれました。歌人の中島歌子の歌塾「萩の舎」で和歌や古典を学びますが、15歳で兄を、17歳で父を亡くし、女戸主として一家を背負うことになります。

姉弟子が小説で多額の原稿料を得たのを知った一葉は、小説家を志し、新聞小説の作家だった半井桃水に師事しました。1893年には生活のため、吉原に近い下谷龍泉寺町で雑貨と駄菓子の店を開きます。のちに本郷へ移ってから『大つごもり』『たけくらべ』『にごりえ』などを次々と発表し、この時期は「奇跡の14ヶ月」と呼ばれています。1896年、肺結核のため本郷の自宅で亡くなりました。

女性たちの悲哀を描く文体

一葉は、井原西鶴風の雅俗折衷の文体で、明治の女性たちのふるまいと、そこから生まれる悲しみを描きました。吉原の近くで店を営んだ暮らしは、その作風にも影響を与えたとされています。

晩年の作品は森鴎外や幸田露伴から高く評価され、一葉の家には島崎藤村ら『文学界』の同人が毎日のように集まりました。2004年には、女性として123年ぶりに日本銀行券の肖像に選ばれ、五千円紙幣に描かれました。

樋口一葉の作品