アントニイ・バージェス
Anthony Burgess
1917年〜1993年・イギリス
イングランド出身の小説家で、作曲家としても多くの作品を残しました。植民地の教育官として赴いたマラヤで小説を書き始め、本来は笑いを得意とする書き手です。それでも最もよく知られているのは、造語で語られるディストピア小説『時計じかけのオレンジ』です。
最初の一冊
作者の名を最も広く知らしめた代表作です。少年の造語で語られる文体に、言葉と音楽を愛した作者の関心がよく表れています。
マンチェスターから東南アジアへ
1917年、イングランドのマンチェスターに生まれました。本名はジョン・バージェス・ウィルソンです。1歳のときに母と姉をスペイン風邪で亡くし、叔母や継母のもとで育ちました。マンチェスター大学で英語と英文学を学び、第二次世界大戦中は陸軍の教育部門に属してジブラルタルに駐留しています。
戦後は教師となり、1954年からは植民地の教育官としてマラヤに赴任しました。そこで書いた最初の小説群は、のちに「マラヤ三部作」と呼ばれます。1959年に帰国してからは専業の作家となり、その後はマルタやイタリア、モナコに移り住みました。1993年、肺がんのためロンドンで亡くなっています。
言葉と音楽を愛した書き手
シェイクスピアの恋を描いた『その瞳は太陽に似ず』や、ベートーヴェンの交響曲「英雄」の構成に沿って書いた『ナポレオン交響曲』など、音楽の形式を小説に取り入れる試みを重ねました。ジェイムズ・ジョイスの研究書や、映画・テレビの脚本も手がけ、1973年にはノーベル文学賞の候補に挙がっています。
作曲家としては交響曲や協奏曲、ピアノ曲など250を超える作品を書き、自分を「小説を書く音楽家」と見てほしいと語ったこともあります。大学で音声学を教えた経験もあり、先史時代を描いた1981年の映画では、登場人物が話す架空の原始の言語を考案しました。
